2012年12月16日

「ワイルド7」と「スマグラー」〜コミック原作の映画って難しい。

番宣のバイクがトレーラーからバーン!って飛び出すところと、瑛太くんの横顔がナカナカいかしてたので、結構ワクワクしながら「ワイルド7」を見ることにしました。
映画公開時、「ハリウッドに負けない大迫力のアクション映画」みたいなことを言われていたりしたこともあり、小さい頃原作が好きだった私はかな〜りこの映画が気になっていたのですが・・・

ぶっちゃけ結論から言っちゃうと「見なくてもよかった」

故・淀川長治さんに敬意を表し、「どんな映画も絶対悪口を言わない」と行きたいところなんですが、申し訳ないけどあれはどうなのかなあ・・・?という感想しか残りませんでした。

最近のマンガ元ネタ映画って、余りにも原作の構図台詞丸々っとそのままで、あれはあれで「じゃあなんで映画化すんねん?」と激しく疑問なんですが、かといってこの映画みたいに「何でそうなるの!」的に端折られたら、やっぱり「改悪すんなしwww」と思わずにはいられなかったので、「なるほど仕方ないのかも」と考えてしまい、今ちょっと何かに負けた気分です(笑)

私は基本的はかように「原作のまま全く相違なく作りなさいよ!」というのが大嫌いなわけですが、かといって「おい、誰やねん!」というくらいにキャラクターに名前まで変わられてしまうと、なんだか腹立たしいと思うことがこの映画を見て初めてわかりました(笑)
いいのよ?リアル路線の世界観なのにマンガの外見そのもので出てこられたりしても大概困るから、そういうのは現実の役者さん主体で解釈してもらうんで構わないの。
でもね、見た目のインパクトがすごい知らない人に出て来られても、さすがにそれは困るのよ。誰だよお前帰れよ!ってうっかり思っちゃったりするじゃないですか・・・。

つけくわえて、この映画、なんと言ってもお話もアレだったんです・・・。
元々原作が基本的に1話完結のシリーズものという事もあるのでしょうが、いくら100分作らなくちゃって言ったって、とりあえず継接ぎして長く伸ばしとけばいいってんじゃグダグダすぎじゃないの?
大まかに言うと、「謎の女ユキ篇」「細菌テロ篇」「黒幕篇」って3つの話が詰め込まれてるんですが、シチュエーションとしてはありがちだし、それ以前に出てくる人が増えてくだけで、誰もキャラクターが立ってないって感じなので、全然思い入れができないまま映画が終わるっていう印象でした。
だいたいなんで態々現代の話にしなくちゃいけなかったのかが全く分からない。
あの原作のバタ臭さを考えたら、簡単に現代に持ってくるのが如何に難しいか気づきそうなもんなのに…
原作の男臭さ含めかっこよさ激しく半減です。

それになんといっても、バイクのかっこよさが全く伝わらないバイクアクション映画とかって本とどうなのかなあ???って感じ!!

スポンサーサイドの問題なのか全員国産バイクに乗ってるっていうのはしょうがないとして、それでもとりあえず全員それなりのバイクに乗ってるんですが、この映画の売りになってるアクションシーンてやつ、ヨリとかアオリの絵がほとんどないのね。
全員、画面の中をただ走り回ってるの。どういう風に走ってるよっていうのはよくわかるんだけど、ほんとうにそれだけ。すごく単調なアングルで、その上スピード感がないもんだから、びっくりするほど退屈でバイクが全然かっこよくない。今時レースの中継だってこんな長回ししねえよってくらいに退屈。遠景ばっかで全員色違いの同じバイクに乗ってるみたいに見える。もちろん誰が誰だかなんてほぼわからない(例外的にパイロウだけサイドカーだからわかるよって感じ)。

これはもう「ワイルド7」としてものすごくだめなんじゃないの?
バイクがかっこよくない「ワイルド7」とか全くダメなんじゃないの??

久しぶりにがっかりしたわー。
見終わった後、怒る気にすらならない程度に、脱力してました。

で、今日は昼間に同じWOWOWで「スマグラー」もやってるので見ていたんですね。
というか、「スマグラー」映画も十分原作とは違うっていうところがたくさんあるんですが、こちらは対照的にすごく面白い!
「スマグラー」は原作と同じく見る人を激しく選ぶと思うし、映画としてどうのって聞かれたら、「すごくよく出来ています!」とか決して言わない映画なんですが、でもやってたら見ちゃうくらい。実際もう4回見てるんです(^^;
原作は全1巻だから映画化するにはちょうどよい分量なのかもしれないということを差し引いても、やっぱり原作をしっかり消化しているように思えます。映画にするに当たって原作を改変したのは同じでも、こちらはちゃんと監督が自分の作品に作り変えているという感じ。もっともその作り変えた後のものが好きか嫌いかはまた別の話になってきますけどね。
世界観が違うとか、キャラクターが改変されているとか色々感想はあると思いますが、「スマグラー」映画については、あらすじがとてもわかりやすくまとまっているという点はもちろん、一部で評価の高い高島兄の怪演ぶりが素晴らしいとか、妻夫木くん演じる砧がどんどん愛しくなるとか、ラスト討ち入り前の小日向さんかわいいとか、そういう事も含めて、役者さんたちの演技の素晴らしさはもちろん、群像劇にも関わらずキャラクターが全員立っているっていうのがすごい。
ここら辺のキャラクターの描かれ方の丁寧さ、適切さは、本当に申し訳ないけど「ワイルド7」とは対照的だと思います。

監督・脚本家の力量の差とか、原作のタイプが違うとか、予算だのなんだのって色々あるのかもしれませんが、原作がコミックの場合は、映画と同じ総合芸術同士だからこそどこの切り口で変換するのかが難しいのかもしれないけれど、それにしても、脚本も演出も絵作りもダメって思った映画は久しぶりでした。
「ワイルド7」の監督さんと脚本家さんは、どうやら人情話の方が得意そうみたいだから、それなら素直に「謎の女ユキ篇」だけに絞って、ユキちゃんの過去と今、そしてワイルド7の出会いとこれからみたいのを丁寧に描くんでよかったんじゃないかしら。無理してアクションシーンをたくさん盛り込もうとか、エピソードテンコ盛りにしようとか、そんな必要どこにもなかったように思います。

さて、「ワイルド7」を見ている間中、うちの夫は「俺だったらBGMはあの頃の暑苦しいロックを掛けるんだけどね」と言っていましたが、確かに「海猿」みたいなドラマティックな音響は「ワイルド7」のキャラクターには似合わないと思います。
「スマグラー」映画はラストシーンのさわやかな画面から切り替わって、ビートモーターズの「ばら色の世界」が流れ始めると「わああああ!」ってなるもんなあ…
原作コミック映画では「ピンポン」のスーパーカーもヤバイくらいにスゴイっていつも思うもんなあ…

結局、コミックスの映画化に限らず、原作にどれくらい敬意と愛を捧げられるかで原作付き映画の良し悪しは決まるのかもしれないと思った冬の夜でした。
ラベル:マンガ
posted by 都野兎 at 03:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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